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北海道を振り返って【生産者を訪ねて】

北海道を振り返って【生産者を訪ねて】

フェア終了後、翌日の最終便で札幌を発つ予定だったので、
その日は頑張って起きて車を借りて、余市方面まで足を延ばしてきました。

札幌から約2時間のドライブ。
余市の先、古平という小さな町に着きました。
ここには石井シェフが紹介してくれた
日本で唯一のヒメマスの養殖場「野村商店」があります。
野村夫妻は二人で営んでいる様子の小さな店舗を町の方に構え、
炉端焼きの装いで串に刺したヒメマスを焼いています。
そこから車で山の方に10分走らせないうちに綺麗な清流があり、
そこの脇で池の棚をつくり育てています。
野村さんは多忙にもかかわらず、
道なき私道?の車1台やっとの道をかき分け案内してくださり、
自分で書いたような熊に注意の看板を通り、別世界に案内してくれました。

すぐに魚が見られると思いきや、魚の背中は黒っぽく、
池と同色なので肝心なヒメマスが上から覗いただけではよく見えません。
そこで、気軽に『すくってみせてもらえないですか?』と聞くと、
網では逃げてしまってすくえないとの事。
すると胸まであるスウェットに着替え、
池に入り投網を回し囲って捕まえてくれました。
そのきらびやかな銀色のしまった小ぶりの魚体は
ニジマスと鮎を足したような感じで、
料理人の僕の心をくすぐりました。

北海道を振り返って【生産者を訪ねて】

冬には雪が降り、池には氷が張るそうですが、
それを割って入って捕まえ出荷するそうです。
『冷たい池の中での作業は気も遠くなるほど
辛いけど寒い時の方が美味しいんですよね…』
という野村さんの複雑な顔を覚えています。
でもお願いしようと決めました。過酷ですかね?

そこでの時間を惜しみつつ、
午後には余市のワイナリー
「ドメーヌタカヒコ」の曽我貴彦さんを訪ねました。
以前から、ココファームで醸造責任者として腕を振るい、
万を持しての独立を数年前に余市の小高い丘で始めました。
丁度、葡萄の収穫真っ最中で忙しい時期だったのですが時間を割いてくださいました。

北海道を振り返って【生産者を訪ねて】

やはりまず感動したのは、その風景の美しさで、本州にはない、
北海道ならではと言ったらよくないのかも知れませんが、とにかく、雄大です。
そして畑の管理が綺麗。ここは日本か?と思う景色がそこにはありました。
そこにたわわになる小粒な黒葡萄、
ピノノワール様が一面になっているではありませんか!また感動です。
個人的にもブルゴーニュが好きなので、
そのいいタイミングで生ピノを食べれるという経験が出来て疲れが吹っ飛びました。

甘い、そして優しい酸味。そこに曽我さんの思いに聞き入ります。
「僕の目指すワインは、力強さじゃない。
薄いと言う人もいる。でもここでしか出来ない事をやれば良い。
飲んで、じんわりとくる【うまみ】、優しさを感じるワインが良いと思う。
だって日本って、うまみを大事にしてきた文化だから。
逆にそれを海外で作れっていったら出来ないでしょ。」
非常に説得力があり自信に満ちた姿があった。
物作りをする同じ人間として、共鳴する言葉でした。

自分は、料理を通してそれを表現し、
これという信念を相手に伝える事がまず大事な事だと思っています。
受け止め方は、千差万別。お客様次第。
味は好みがあると思うけど、物に込められた思いというものは、
どんな人にも垣根を越えて伝わるものだと思っています。
魂というか、エネルギーというか、目に見えないものです。
曽我さんの、自身で育てたピノを食べた時それを感じたような気がしました。
ワイナリーは一代で終わるものではないので、
今後も次世代の活躍すら楽しみな気がしました。

北海道を振り返って【生産者を訪ねて】