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津軽びいどろ「TAKAZAWAモデル」

津軽びいどろ「TAKAZAWAモデル」

前にコラムでも少し書きましたが、現在進行形の「TAKAZAWAブランド」の食器作りのその後についてです。

2月末に実際に青森まで、雪の壁をぬって、「びいどろ工房」(株)北洋ガラスさんまで行ってきました。
前回の打ち合わせでお願いしていた試作品の確認、職人さんの技を見せていただき、ガラス体験までさせて頂きました。

津軽びいどろ「TAKAZAWAモデル」

まず、伝統工芸「津軽びいどろ」の簡単な説明ですが、僕のイメージはお土産品などで、
お酒のとっくり、コップ、おちょこ、として見た事がある程度で、正直、「かっこいい」という言葉とは遠い感じの物でした。
元来は漁師さんが、海の浮きに使っていた丸いボールで、そのガラス技術が次第に花瓶やコップなどに変わっていきました。
色が特徴的で、津軽の砂浜の砂を少量混ぜることにより自然なグリーン系の色合いになります。今では、その他数々の色彩豊かな色のコンビネーションが魅力的です。

北洋ガラスでは、その色彩バリエーションが日本一あるようで、ガラスを溶かす炉は常に10穴くらい1400℃に保たれていました。
寒い冬の時期はあったかくていいのですが、夏は倒れる職人が出るほどの過酷な現場になります。

作り方は、液体状の真っ赤なガラスを竿の先に付け、湿らせた新聞紙(!)や湿らせた木のヘラ等で形を整えて、
そこに他色の真っ赤な液体ガラスを重ねて、再度熱し融合させながらのばす、という作業の繰り返しです。

色が増えるほどその繰り返し作業が増えます。そして、成形し、1晩かけてゆっくり温度を下げていきます。

ガラスは700℃位で固まるので、その一瞬手前の、高温状態で成形を完成させるため、その時点ではどの色を使っていても、大体オレンジとグレーの中間色です。
つまり、翌日さめるまで、出来上がりまで、ほとんど色が解りません。
5~10年以上の経験をもつ職人さんですら、はっきりとは言えないその出来上がりの色は「ガラスそれぞれの個性」として出来上がるのでしょう。
そして、その色こそが、北洋ガラスさんが作る津軽びいどろの最高の特徴です。

せっかくなので僕もガラス作り体験をさせて頂きました!
一番難しいと言われた「皿」に挑戦させてもらったのですが、何がなんだか良くわからないうちに終わってしまい、僕はただ座っていただけで、全て職人さんに委ねて作っていただいたような感じでした(笑)。
職人になるまでには、最低5年は必要というのは、大きくうなずけました。

津軽びいどろ「TAKAZAWAモデル」

さて、今回のオリジナルモデルはそんな職人技の光る手作りで、1枚ずつ作るので全て完璧に同じ物は出来上がりません。
色を溶かしたガラスはその全て、解ける温度、固まる温度がちがい、それを経験だけでまとめていきます。
今日という日が二度とないように、そのガラス作りの中で同じ状況は二度とうまれません。確かに温度計など工場のどこにも目につきませんでした。
職人さんが長く培ってきた感覚と経験がものをいうのです。

重力が皿をまげ、濡れた新聞紙で形を整える。
遥か昔から、全く変わらない製法が今でも引き継がれていました。
「最終的には職人が作るのではなく、実は、1枚の皿が自身で形を選んでいるのです。」
という職人さんの言葉。
まるで、作るガラスひとつひとつに命があるような思いでした。
伝統を大切にして生まれる「津軽びいどろ」。
そこにTAKAZAWAのエッセンスをほんの少し加えさせてもらい、
素晴らしい品を共に造り上げ、
この「津軽びいどろ」をTAKAZAWAモデルとともに
日本から世界へ発信していきたいと思ってます。