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ARONIA DE TAKAZAWA の料理に新しい風を求めて、6月28日から7月10日まで‘‘スペイン食べ歩き研修’’に行ってきました。 ホームページには全2回に渡って、シェフの熱き想いを掲載していきます

SPECIAL COLUMN スペイン紀行(1) 料理の本質

2006.07.27

‘スベロア’のシェフと

現在スペインは エルブリに代表されるようモダンな発想や化学を駆使した

今までの料理とは一線を画すものが多く、誌面等でとりあげられています。

そんな魅力にとりつかれて今回は2度目のスペインとなりました。

毎回10日間位 現地で食べ歩くわけですが

レストランだけで12軒 行って来ました。

目的は 日本より進んでいる演出やテクニック・味の構成の勉強ですが今回はそれより

【料理の本質】は何か

という事に最も刺激を受けるという結果でした。

それは、日本から予約をしていかなかった唯一のレストラン‘スベロア’でのこと。

まず、予約を入れていなかった理由は 誌面で見る限りモダンではなく

いわゆる昔のフレンチのような

現代スペイン料理とは無縁の様な存在に思えたからです。

例えば 『メルルーサ に パセリソース』ですとか。

予定に余裕ができたので とりあえずおぼえていた名前が

‘スベロア’だったので行ってみた・・・という感じです。ミシュランは2つ星。 

中心部から車で20分位 自然があふれる道の脇にあります。

夏だったのでテラスのような場所で食事ができて その雰囲気は気持ち良かったです。

現地はなんといっても22時くらいまで明るいので・・・

私たちはテイスティングメニューを頼みましたが (全8品ほど)

今帰って来てからでも 味を鮮明に思い出せる。

つまり、味がしっかりと きまっていて おいしい!というものすごいインパクトと

舌につきささるような旨さ というのをしっかりと覚えています。

その‘味覚’感動は盛り付けや演出・化学を超えてはるかにお客様に感動を与えられる

最も大切な物なのだと目が覚めるような思いを‘スベロア’の料理を通して感じたのです。

それまでにも色々と回っていましたが、こんなに感動したのは初めてで

滞在中、スケジュール調整をして 再度レストランに足を運んだほどです。

料理人として 小手先のテクニックに頭を抱えることなんかよりも

味覚に訴えることに集中して料理をすることの大切さを改めて感じることができ、

頭にかかっていた雲が晴れたような思いでした。

そんな味を作るシェフはいつもちゃんと厨房に立ち、指揮をとっている。

こんな‘オヤジ’のような存在が味を守っていることも合わせて大切な事だと感じました。

味は本質であり 原点 で

【味を置き去りにして 料理の進化はない】この一言に尽きる 食紀行でした。